七十二候

二十四節気 大暑の初候、土潤溽暑（つちうるおうてじょくしょす）は、大地に湿り気が残る中で、空気は重く、蒸し暑さがまとわりつくような時期です。 土潤溽暑は、7月27日 〜 8月1日あたりになります。「土潤溽暑」とは、「土が湿り、蒸し暑さが増すころ」という意味です。植物は勢いよく育ちますが、人には少し厳しい暑さ。湿度と熱気が一体となった「日本の夏らしい不快感」を感じさせる候です。

二十四節気 大暑の初候、桐始結花（きりはじめてはなをむすぶ）は、真夏の中にあっても、すでに次の命の準備が静かに始まっている――そんな“時の移ろい”を感じさせる時期です。 桐始結花は、7月22日 〜 7月26日あたりになります。「桐始結花」とは、「桐の木が花のつぼみを結び始める頃」という意味です。実際に桐の花は春（5月ごろ）に咲くため、この「花を結ぶ」は翌年に向けた芽（蕾）が形成され始めるという自然のサイクルを示していると解釈されています。

二十四節気 大暑の末候、鷹乃学習（たかすなわちがくしゅうす）は、春に生まれた鷹の子が成長し、大空を舞う訓練を始める時期です。 鷹乃学習は、7月17日 〜 7月21日あたりになります。「鷹乃学習」とは、「鷹の雛が飛ぶことや狩りを学び始める頃」という意味です。自然界では若い生命が活発に動き始め、緑が濃く、蝉の声も響き始める本格的な夏の始まりの風景を感じさせます。

二十四節気 小暑の次候、蓮始開（はすはじめてひらく）は、池や沼に生える蓮（はす）の花が咲き始める時期です。 蓮始開は、7月12日 〜 7月16日あたりになります。朝早く開き、昼には閉じる蓮の花は、静けさと神秘的な美しさを持ち、日本では古くから仏教や清らかさの象徴としても親しまれてきました。梅雨明けも近づき、夏本番を前にした静かな自然の美が感じられる時節です。

二十四節気 小暑の初候、温風至（おんぷういたる）は、蝉の声が聞こえ始め、夏の生命感が一気に増す時期です。 温風至は、7月7日 〜 7月11日あたりになります。ここでの「温風」とは、夏特有の蒸し暑い南風のことを指し、この時期から本格的な夏の訪れが感じられます。風はもはや涼やかさを失い、日差しとともに肌にまとわりつくような熱気を帯びてきます。

二十四節気 夏至の末候、半夏生（はんげしょうず）は、蒸し暑さが増し、梅雨が本格化する時期です。 半夏生は、7月1日 〜 7月6日あたりになります。夏の農作業において一つの節目とされています。「半夏（はんげ）」とはカラスビシャクという薬草のことで、これが生え始める頃を意味します。また、この時期は昔から田植えを終える目安とされ、農家では一区切りの大切な時期と考えられてきました。

二十四節気 夏至の次候、菖蒲華（あやめはなさく）は、「菖蒲（あやめ）」の花が咲く時期です。 菖蒲華は、6月26日 〜 6月30日あたりになります。菖蒲は、初夏を代表する美しい花で、水辺や湿地帯に咲くその優雅な姿は、日本人にとって季節の風物詩でもあります。この時期は梅雨の終盤に差し掛かり、雨に濡れた菖蒲がしっとりとした美しさを見せてくれます。

二十四節気 夏至の初候、乃東枯（なつかれくさかるる）は、夏に入る時期です。 乃東枯は、6月21日 〜 6月25日あたりになります。「乃東（だいとう）」は「夏枯草（ウツボグサ）」のことで、すでにその花が枯れ始める様子を表現しています。季節は夏至を迎え、一年で最も昼が長い時期ですが、自然の中では早くも枯れ始める植物があり、命の循環を感じさせる時期でもあります。

二十四節気 芒種の末候、梅子黄（うめのみきばむ）は、梅の実が黄色く色づく時期です。 梅子黄は、6月16日 〜 6月20日あたりになります。初夏を迎え、青かった梅の実が次第に熟して黄色くなり、収穫の時期が近づく季節です。この頃は梅雨の真っただ中で、雨に濡れる梅の木と、色づいた実が季節の深まりを感じさせます。梅は古くから薬用や食用として親しまれ、日本の暮らしに根付いた存在です。

二十四節気 芒種の次候、腐草為蛍（くされたるくさほたるとなる）は、初夏に「蛍が飛び始める」時期です。 腐草為蛍は、6月10日 〜 6月15日あたりになります。昔は、朽ちた草が蛍になると信じられていたことからこの名前が付いています。実際には湿地帯や川辺で蛍が光を放ちながら舞う美しい光景が見られ、この時期は梅雨入り前後の日本らしい幻想的な季節感を楽しめます。自然が夜にも命の輝きを見せる、風情ある時期です。